アクセシブルなパッケージ:JIS S 0021に準拠した消費財設計
ケロッグ、カルフール、パスクアルはすでにパッケージにアクセシブルコードを統合しています。日本では、JIS S 0021(高齢者・障害者配慮設計指針)が同様の方向性を示しています。

パッケージは、消費前の消費者との最後の接点です。視覚障害のある人にとっては、最も不透明な接点でもあります。原材料、アレルゲン、使用方法など、すべてが6ポイント以下で書かれています。プロクター・アンド・ギャンブル(2022年)の調査によると、ロービジョンの人の86%が、情報を読めない製品の購入をあきらめています。
日本では、JIS S 0021「高齢者・障害者配慮設計指針—包装・容器」が、つまみやすさ、開けやすさ、識別性などの基準を示してきました。しかし情報アクセシビリティ(成分・アレルゲン・調理方法の読み取り)については、点字(限定的)や音声コードUni-Voice(普及途上)が中心で、抜本的な解決には至っていません。
ケロッグ Coco Popsの事例
2021年、ケロッグは英国で初めてNaviLensコードを印刷したシリアル箱を発売しました。コードにより、視覚障害者は42言語のいずれかで原材料、アレルゲン、栄養価、調理方法を聞くことができました。
展開はSpecial K、Rice Krispies、そしてPringlesシリーズへと拡大。Kellanovaが報告した社内結果:視覚障害のある消費者の再購入意向が14%上昇し、ブランド認知も測定可能な改善を示しました。
学んだ教訓
- コードは予測可能な位置(正面右側)に配置する
- 印刷コントラストが重要:光沢のある金属表面では機能しない
- 印刷ラインとの調整で追加されるのは1色のみ
- コンテンツは少なくとも国内言語と英語で提供する
- 機械翻訳では不十分:各言語をネイティブスピーカーがレビューする
- 製品ウェブサイトでコードの存在を告知する:発見が成功の半分
日本での適用可能性
農林水産省「食品表示基準」とJAS法の枠組みでは、表示の読みやすさは推奨レベルにとどまります。一方、2024年改正障害者差別解消法により民間事業者の合理的配慮が義務化されたことで、メーカーには情報アクセスを保証する代替手段の提供が求められる場面が増えています。アクセシブルコードは、既存のJIS S 0021パッケージ設計に追加する形で実装可能です。
国際的な規制動向
欧州ではEAA、PPWR(包装・包装廃棄物規則)、指令1169/2011改訂が消費者情報のアクセシビリティ要件を強化しています。輸出を行う日本メーカーは、これらの規制への対応が事実上必須となりつつあります。
コストを膨らませずに印刷する方法
生産現場からの最も一般的な反論はコストです。実際には、アクセシブルコードは最終アートワークに含まれる1つのグラフィック要素として組み込まれます。特殊インク不要、基材の変更不要、既存のオフセット・フレキソ・デジタル印刷機でそのまま印刷できます。設計段階から織り込めば、ユニットあたりの追加コストはほぼ無視できる水準です。
本当の作業は調整です。印刷品質チームとコードを検証し、ニス加工後もコントラストが保たれるか、確保した領域が法定マーク、JANコード、リサイクル表示と干渉しないかを確認します。ベストプラクティスは、まず小ロットで試作し、複数のデバイスで30-50 cmの読み取りを検証してから本格展開することです。
計測すべき指標
- 販売単位あたりのスキャン率(実際の発見率の指標)
- 読み取りの言語分布(今後の翻訳優先度を示す)
- コンテンツの平均滞在時間(本文が有用か冗長かを示す)
- スキャンしたユーザーと全体パネルの再購入意向の差
- ロービジョン・障害コミュニティでのブランド言及
よくある失敗(と回避策)
1つ目の失敗は、コントラストの低い場所にコードを埋めてしまう、または季節販促で覆ってしまうことです。スマートフォンの素早いスキャンで見つけられなければ、存在しないのと同じです。2つ目は機械的な翻訳。直訳を音声で読み上げると、視覚で前後を確認できないユーザーには分かりにくい文章になります。3つ目は告知なしのローンチ。視覚障害コミュニティがブランドの導入を知らなければ、読み取りは発生しません。
実践ルール:予測可能な配置位置、検証済みのコントラスト、ネイティブ話者による音声レビュー、そして関連団体(日本盲人会連合、RNIB、ONCE、AFB)と連携したコミュニケーション計画でローンチを検証・拡散すること。
FMCGの先へ:医薬・化粧品・家電
同じ原則は、情報が重要なあらゆる分野で機能します。医薬品の添付文書(有効成分、用法用量、相互作用)、化粧品(INCI、アレルゲン、使用方法)、家電(初期設定、メンテナンス、エラーコード)など。Cinfaは一部のOTCラインに導入済みで、複数の小型家電メーカーが機器本体とマニュアルの両方にアクセシブルコードを統合し始めています。小売ブランドとの取り組みについては、消費財・FMCGパッケージ向けの専用アプローチもご覧ください。